2005
今年もシマノは”攻め”です。みなさんがご興味おありの所は、おそらく10段になったアルテグラだったり、フルモデルチェンジするLXだったり、はたまたオールマウンテンをコンセプトにしたホーンだったりするでしょう。この手はみなさん既にある程度ご存じと思われますので、さらっと紹介していきます。
雑誌等にあまり載らないような、しかし結構おもしろいなーと思わせるような物を紹介していこうと思います。
ネクサス オートマチック・インター3
我が日本にとって絶対数の多い自転車はやはり一般車であることには違いありません。今や自動点灯ライトに代表されるようなハブダイナモですが、この電源を生かしよりハイテク(と言うのだろうか?)自転車へと近づけていきます。
ハブダイナモとは読んで字のごとし、車輪軸が発電機になっている物。発電するにはそれなりに動力が必要であり、通常の発電機タイプのライトではタイヤ外周を擦って発電するのですが、これだとコギが重くなる。ならばホイールの内周で発電させてやればあまり重くならないという発想から生まれた物。
これはコロンブスの卵的な発想?であり、タイヤ外周をする物と比較するとその差は歴然である。
さて、ハブで発電した電源を元に自動点灯ライトになっているのは当然として、ついでに自動変速機能をも持ち合わせています。
変速パターンは8段階にも変えられ、更に手元でマニュアルチェンジもOK。メーターも付いており、スピード、時計、積算距離、走行距離が表示されます。
これらの電源はすべてハブダイナモによって発電・供給されていますので電池いらず(ただしディスプレイの表示にはボタン電池が必要)。更にメーターにはバックライトもついており、これもやはりハブダイナモによって発電された電源を使用しております。
シマノではこれをエコビジョンと呼んでおり、今後どんどん展開されていくようです。
ま、これの最上級グレードがあのDi2の進化版”サイバーネクサス”というものなんですが、まぁ、これはDi2が電源不要になり、さらなる改良が施された物です。
なお、Di2は数社から完成車として発売されましたが、約30万という価格のためかほとんど見ることはありませんね。サイバーネクサスも似たような金額になるんだろうなぁ・・・・
TOURNEY リアディレイラー
ターニーとは聞き慣れないコンポーネントでしょう。これはどちらかというとロワーグレードのコンポーネントで、おやすい価格のMTB(もしくはMTBみたいなやつ)や子供用MTBに装着されることの多いコンポーネントです。
で、なんでそんなのを紹介するかというと、このリアディレイラー、超ショートケージにすることでグランドクリアランスを稼ぎ、すなわち16インチにも対応するリアディレイラーなのです。
16インチと言えば子供車もそうですが、昨今流行っている小径車などにも装着できると言うことを意味しております。
もしかしたら使えるかもしれません。
セイント
昨年登場しました、下り系、落ち系をターゲットにしたセイントにデュアルコントロールレバーが登場します。
まあセイントにどれだけの方がデュアルコントロールレバーを使用するかはわかりませんが、ヘビーディーティーグレードだけあって他のグレードよりブレーキレバーがごつかったりします。
また幅広BBシェルに対応したBBやディレイラーも登場です。
そしてエンド幅150ミリ、ハブ軸径12ミリのリアスルーアクスル仕様ハブも登場。ってことでうちのDHiにもセイントを使えると言うことになるなぁ・・・・
HONE
セイントの弟分として登場したホーン。MTBの本来の形であるオールマウンテン、すなわち”自分で上って下る”というコンセプトのコンポーネント。
セイント譲りのリアハブ直付けリアディレイラーで、転倒時のダメージを最小限にくい止めます。
なお、ディスクローターはセンターロック式なのは当然として8インチローターもあるのですが、センターロック径はXTRやXTと同じサイズです。セイントだけが大きいと言うことになります。
DEORE LX
フルモデルチェンジしたLX。基本コンセプトはXTR、XT等と同じですから特徴も同じ。
STIタイプのデュアルコントロールレバー、ホローテック2のクランク、センターロック式ディスクローター、等々。
ただ残念なのはブレーキ。
Vブレーキはリンクタイプだったのですが、こんどのはリンクなしのタイプ。ただブレーキシューはグレードアップされてゴム部のみを取り替えられるカートリッジタイプになりました。
そしてディスクブレーキのキャリパー。XTR、XTはモノブロックタイプのキャリパーなのですが、LXは(ホーンも)分割タイプのキャリパー。まあコスト的に仕方ないんでしょうけど。
でもデュアルコントロールレバーだけではなく、油圧ディスクブレーキ用のレバーもBL-M585として発売されます。デュアルコントロールレバーが今ひとつ好きになれない方には朗報。
CI-DECK
シマノのコンセプトとしては、”通勤バイクに”ということです。
通勤仕様ですからハブダイナモを使用。ライトは左がLEDで常時点灯、右はオートライトでキセノン球のマルチリフレクターというなかなか凝った物。
都内23区内の、サイクルショップYSDさんに勤務のFKSM君はこのライトをかなり気に入っていた。彼曰くこのライトの両脇に電池式のLEDライトを取り付けて4灯式にしてWRCのラリー車のように・・・・勝手にしてください(^^;
更にオプションでライトの間にうまくフィットするメーターなんかもあったりする。これまた憎らしいことにハブダイナモの電源供給によるバックライト付き。
更にこのメーター、速度表示はデジタルのみならず、メーター外周にアナログ表示もされる。一周30キロということですが、30キロを超えると今度は30〜60キロを表示するようになってもう一周まわるそうです。
やはり男の子はメーターの針が頂点を越え、右に傾いていくと血沸き肉踊るものがある。そうやって通勤でコギを入れれば遅刻はなくなるし、ダイエットにも効果抜群と言うことなのだろうか??
アルテグラ
みなさんご存じの通りアルテグラがモデルチェンジして10速になりました。デュラエースが7800になったときに大変好評だったブラケット形状もほぼ同じような形状になっておりますので、ここを握ってというポジションもオッケー。
またデュラエースとは異なり、アルテグラはトリプル仕様も10段変速となり、3X10の30段変速となります。ここはデュラエースを越えたか?
なお従来のアルテグラの左レバーはデュラエースとは異なり、ダブル、トリプル共用でしたが、今度のアルテグラはダブルもしくはトリプルの専用レバーとなります。
そしてうれしいのがカセットスプロケット。
歯数は11〜23T、12〜23T、12〜25T、12〜27T等の他に、
ジュニア用(高校生用)として13〜25T、14〜25T更に
15〜25T、16〜27Tというファンライダー向け(もしくはおじさん向け?)ギア比も登場。
16,17,18,19,20,21,22,23,25,27というギア比。笑っちゃう。けどうれしいかも。
ところで13トップ以上のスプロケット、同じく10速である7800デュラエースには残念ながら使用できません。また同時に発表されたアルテグラグレードの完組ホイールWH−R600でも使用できないようです。
またWH−R600は10段専用のアルミフリーなのであるのに対し、リアハブFH−6600は8,9段用と同じスチールハブになっており8,9,10兼用となっています。
そういうわけでアルテの完組は10段専用となります。が、一緒に発表されたWH−R550やR500は8,9段もOKとなっております。
と、かなりややこしい。
それにしてもこのギア比、これはシマノの他社のコンパクト化に対するアンチテーゼか?なんでコンパクトを出さないんだろう?もしかして・・・・
ただしトップ13T以上の場合、チェーンとチェーンステイが干渉して装着できないフレームも出てくるであろうとシマノは警告しております。
まあスプロケはいろいろ発表されたけど、使える組み合わせと使えない組み合わせがあるので注意と言うことです。
そしてアルテグレードのシートポストも復活。個人的にシマノのシートポストはかなり小刻みにシート角度調整ができるので好き。
なお、従来の6500アルテと比べてフルセットで組んだ場合、約100グラムの軽量化が可能と言っていました。
NEXUS
ネクサス完組ホイール | |
フロント ハブダイナモ | リア 内装8段変速 |
う〜む、そこまでするか?と思うのがこのネクサスシリーズの完組ホイール。
ネクサスとはスポーツ系のバイクというよりコンフォート系バイクに使用されるコンポーネント。そのシリーズにまで完組ホイールが出ます。
まあ単なる完組ホイールでは訴求力がないのでそれなりの特徴はあります。フロントホイールはハブダイナモ付き、リアホイールは内装8段変速機付き。
うむむむ・・・・まあ確かに通勤やマイペースで走るコンフォートバイクにはいいかもしれないけど・・・・どうも無理矢理って気がしないでもない。
まあスポーツバイク用ハブダイナモや内装8段ハブ
が部品売りであるとは言っても、果たしてどれだけの方が(メーカー、小売店、お客様)使用してくれるか微妙なところ。ならば完組として発売しちゃえ!ってなノリで作られた気がしないでもない。が、完組だからと言ってそれなりに売れるのかな?ちょっと疑問。
私の勝手な推測だけど、結局はどのメーカーも売り上げを伸ばしたいからということで完組ホイールを作っているのではないかな。もちろん性能を追求してできあがった完組ホイールもあるだろうし、っていうかそれが本来の形だったはず。
しかし部品屋はハブ一個売るより、リム屋はリム一本売るより完組ホイールとして売れれば売り上げはグンと伸びるわけである。そりゃやらない手はないわな。実際どう贔屓目に見ても「この完組メリットあるのかな??」と疑わしき物もあるし。
と、冷めた視点から見ると特に魅力があるわけでもないホイールである。ハブダイナモだって、内装8段だってバラから組めるし。
とは言うものの、完組ホイールってカッコいいってのはありますね。カッコで選ぶのもありだと思います。よって、そういった意味では否定はしません。
PD-A525
これ結構イカしてました。SPD-SLではなく、MTBなどに使用されるSPDクリートを使用したロード向けSPDペダル。
今までもPD-A515として、コンフォートロード向け(っていうか歩くことを考えて、あえてSPDペダルとして販売されていた)のSPDペダルはありましたが、今度のA525は、SPD-SLペダルのようなスタイリッシュなペダルとして生まれ変わりました。
とは言うものの、今までのA515の方がコンパクトで魅力的という意見もあるでしょうから、まあ、これはどっちもどっちかな。
BR−S030
これは一般車向けのフロントキャリパーブレーキ。何がどう今までのブレーキとは違うのか?
デュアルピボットになっています。
デュアルピボットって何?
それはおそらくあなたのロードレーサーにも使用されているであろうキャリパーブレーキです。
普通の一般車(や昔のロードレーサー)はブレーキシューを支えるアームがちょうどブレーキ本体の真ん中あたりでボルト&ナット留めされています。が、デュアルピボットタイプは右写真でいうと左のボルト&ナットで留められております。これにより力点(ワイヤー留めボルト)から支点(ボルト&ナット)の距離が長くなり、レバー比が上がるので、軽い操作力で力強いブレーキングが可能となります。
しょぼいブレーキが多い一般車の中にあって、このデュアルピボットブレーキは「良い物を」というシマノの意気込みを感じます。当然通常のしょぼいブレーキより価格は上がるはずですが。と言ってもそんなに上がるはずじゃないけど。
とは言うものの、既に一般車のブレーキでもデュアルピボットタイプは実在しており、一部の良心的な完成車メーカーではそれを採用しているところもあります。
言われなきゃ気づかないような所ですが、それでも「良い物を」という姿勢には大賛成です。
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