整備日誌 2001年6月〜7月編
2001年6月16日
99JUDY100のオーバーホールを行った。オーナーのNSZW氏曰く、どノーマル状態であるがどうにも動きが硬いとのことである。たしかに後半ほとんど沈まない。これではJUDY50である。というわけで早速バラしました。既に2シーズン目、その間一回もオーバーホール無しというのは興味をそそられました。が、左写真を見ればわかるとおりオイルはいたってきれいでした。ま、スプリングにはビニールコーティングみたいのがされているし、ダンパーもマルゾッキ等とは異なりオイルが汚れづらい構造になっているので、結構メンテフリーで行けるかも?
ところでこのJUDY100、当時ノーマルカラーはレッドだったのですが、カラーオーダーによりブラック仕様で頼んだ物。当時のOEM品と同じカラーでした。故に硬いのかな?ソフトスプリングを注文したのでこれに変えてどうなるか興味津々です。
なお、バラしている途中ちょっと気になる点があったのでそれを直しておいたのはもちろんです。
おもしろいもの TREK FUEL編(340KB)を追加しました。
2001年6月21日
上記のJUDY100にソフトスプリングを入れた。なんか見た目はスプリングに変わりはなさそうな....ま、とりあえず替えてみた。ら、ずいぶん動きが良くなった。でも本質は違うところにあるような気がする。今度はもうちょっとダンピングを上げてやりたいくらいです。動きが良くなった分もっとダンピングさせてやりたくなりました。
2001年7月8日
先日旧デュラコンポーネントのバイクのオーバーホールを行いました。オーナーさんはちょっと前にトライアスロンに出場され、現地から輸送される間にかなり潮風に吹かれ各部が錆びまくっています。
シーズンオフにはちゃんとオーバーホールしているのでそれを再確認するオーバーホールでもありました。
ヘッドパーツはグリス、ベアリングの当たりは問題無しですが、砂が結構かみ込んでいました。
次にフロントハブ。ハブ軸を回してみると問題なく非常に良いコンディションのようでした。バラしてみてもまったく問題なく、異物噛み込みや当たりの異常は全く見受けられませんでした。
リアハブも軸を回してみるとこれまたいい感じです。バラしてみると(右上図)こちらも全く問題ありませんでした。グリスがベージュがかって見えますが、これは使用していたグリス(トリフロー)が初めからベージュ色なので。水分を含んで乳化したわけではありません。
というわけでワイヤー、チェーンはひどい錆でしたが、回転部には問題ありませんでした。
さて、久々に触れた旧デュラエースですがとても高品質に感じました。たしかに7700デュラエースは軽いという決定的なアドバンテージを持ってはいますが、”高品質”という意味では7400デュラエースのほうが上のような気がします。
だって他グレードとは全く互換性のなかったのも74デュラエースでしたから。
ロードの最高グレードがデュラエース、MTBの最高グレードがXTR。どちらも基本的な思想は同じでしょうが、なんとなくデュラエースと言われた方がハイグレードに感じられるのは、XTRがない時代からデュラエースをいじっていたせいでしょうか?
2001年7月10日
11日に富士見に行く予定で、当店の試乗車君のサスペンションを組み上げました。当店のDHマシン、アンカーFADAPは貸し出す予定で、試乗車君を私が乗ることになります。試乗車君はスペシャライズド
ロックホッパーFSR XCで、決してダウンヒルコースに向くバイクではないのですが、ちょこちょこいじってうちょっとサスペンションの動きを楽しめるバイクにしていくつもりです。以前FサスをJUDY
TT からサイロSLに替えたのですが、トラブルが発生しバラしたままでした。
結局補修パーツは揃わないままの組立になるので、トラブル必至なのですがしょうがない。
それにしてもサイロSLって右図の状態までばらすと組立時に結構面倒なことになります。ダンパー側は個人レベルではばらさない方が後々面倒なことにはならないかと思われます。
もっとバラしてよーく見ると、サイロSLってなかなかちゃんとしたダンパー構造になっています。でも一般的にはサイロXCのほうが色々いじりやすいかな?
2001年7月21日
先日お客様のDHバイクのリアスプリングをベステックス(NEW BUSINESS参照)さんに特注しました。その過程を書いてみます。
まず始めに1G’状態(バイクにまたがった状態)でのリアサスペンションのストローク量を測定し書きとめておきます。そしてそのスプリングをベステックスさんに送り、実際どの程度のレートなのかを測定してもらいます。
そして後日測定結果が送られてくるので、それによりどのような仕様にするのかを検討し制作依頼するという手順です。
さて、今回はお客様のバイクに装着されているスプリングが理想よりも柔らかいと言うことで、もっとハードなスプリングの依頼をしました。
まず1G’でリアユニットのストローク量を測ったところ18oでした。そしてこのバネを送りレートを実測してもらいました。このスプリングにはレートが表記してあり、100N/o≒570ポンドということになるのですが、果たしてほぼその通りの測定結果でした。しかしこのスプリングたいした物で、約2年使用していたにもかかわらずこの正確さですし、へたりを考えれば(もしくは2年使っていてもへたりがないとも言える)ドンピシャなレートです。また、測定結果より得られたグラフを見ると、本当に等レートでとても出来の良いスプリングと言えるでしょう。
さて、この結果より1G’でのたわみを5o減らした13oあたりがいいかな?ということで、計算するとおおよそ800ポンドになるので、800ポンド狙いで作成依頼を出しました。なお、当該バイクはプログレッシブリンク構造となっており、バイクのサスペンション(リンク)自体でプログレッシブ構造となっているので、等ピッチスプリングで依頼しました。色はブルー。
で、待つことほんとに約1ヶ月、図面、bestexスプリングの測定結果と共にスプリングが送られてきました。測定結果によると、希望どおり約800ポンドのスプリングができあがってきました。
早速完成したスプリングを装着したところ、お客様から「ペダリングが軽くなった」との意外な感想を頂戴しました。
当該バイクはキックバックの多めなバイク故、コギを入れてもサスペンションに吸収されてしまいがちとのことだったのですが、レートを上げることによりサスペンションの不用意な動きが抑制され、ペダリングロスの改善になったようです。なお、まだDHコースでは試していないのでどのような感想を頂けるか楽しみです。
2001年7月23日
おとといの日曜日に八王子の浅川でMTBレースがありました。先日初DHを楽しんだNMKさんが出場されるので試乗車君を貸し出しました。彼はMTBを持っていないので。
試乗車君は私好みにちょっとモディファイ(下り系)しちゃっているので、XCでもそこそこいけるように?突貫工事です。
まずはポジション、2”アップのライズバーが付いており、ハンドルバーを替えるのは面倒なので(忙しかったので)高さだけでもと思いNMKさんにスペーサーとステムの向きを一番低い状態にしてもらいます。リアサスにはエアを高めに入れておきました。更にサイロSLは125oポジションから80oポジションにして、せっかくだからスプリングもちょっと硬めのやつに替えようと思いましたが探すのが面倒だし、サイロSLはロックアウトもできるのでいざとなったらロックアウトしてダッシュを決めてもらうということで勘弁してもらいました。伸び側ダンピングも若干強めてっと。
で、結果は9位とのこと。未舗装路をほとんど走らず、初めてのバイクでならまずまずではないでしょうか?そして富士見Aコースからクロカンまで、セッティング一つでそこそこに走れてしまうスペシャライズド ロックホッパーA1
FSRとサイロSLの組み合わせはなかなかなのでは?と思う今日この頃です。
と言いつつ下り系ポジションに戻しつつ、ICKWさんから譲り受けたコイルユニットのリアサスペンションを早く付けよーと思っている今日この頃でもあります。
2001年7月27日
本日はICKW氏のFSR DHのメンテを行いました。今シーズン走りっぱなしとは言え、常々ご自分で手を入れられているだけあって悪くない状態でした。
しかし常々思うのですが、フルサスMTBを選ぶときに皆さん色々と比較検討されるでしょうが、メンテ嫌いな人はモノピボットタイプのリアサス形式のMTBを購入された方が良いのでは?と考えます。動く部分があればあるほどそこに水、泥、砂、埃等が入り込む可能性があるわけで、もちろんそれらは動きを渋くする要因でもありますので、メンテを全然しなければせっかくのパフォーマンスを全く生かせないことになります。その点モノピボットなら可動部分は1カ所なのでメンテは楽です。スペシャライズドに代表されるようなリンク形式の物は4カ所有りますからね。
だいたいフルサスバイクを何台も売ってきていますが、リアサス可動部のメンテなんてほとんど依頼されることはありません。かと言ってご自分でメンテしているとも思えないし....
その点ダウンヒラーな方々はいかに過酷にバイクを使用しているのかご存じのようで、整備を依頼もしくは自分できちんとやっている方が多いです。
もっとも高価なバイクだし、あのスピードでイッてしまったら恐ろしいことになりますから。
あなたのバイク、リアサス外した状態でスムースに動きますか?