整備日誌    2002年6月編

2002年6月7日
更新が遅れております(^^;
さて、次はBB。
BBはクランクを外した時点で指で回してみるとずいぶんゴロゴロしていました。何かありそうな気配です。
で、外したBB及びBBシェルが左写真。20年(?)の月日を感じさせます。かなりの錆です。BBはシートチューブとチェーンステイとダウンチューブが集まった一番下に位置します。雨中走行や洗車、はたまた結露などでパイプ内に入った水分は重力によって一番下にあるBBにイヤでも集まってきてしまいます。集まった水分をベアリングに浸さないために当時のBBにはウオーターシースという蛇腹状の防水用部品が付いているのですが、このバイクにはどういう訳かそれがありませんでした。よって、BBシャフト、ベアリング、BBシェルはご覧の通りの状態です。これじゃゴロゴロとなってしまいます。
クリーニングしたのがこの写真。一見きれいに見えますが、ベアリングには異物噛み込みのあとが、ベアリングカップには玉当たりの強弱が、BBシャフトには若干の虫食いが見られます。が、交換する以外直しようがないし、今まででも特に不具合は感じていなかったようですので、とりあえずグリスをたっぷり付けてこのまま組みました。
さすがにガタのないところまでワン調整するとゴロゴロ感がありますがまあ良しとします。不具合出たら交換しましょう。
以前オールドカンパのオーバーホールをしたときもBBはちょっとシビアな状態でした。やはり上述のような理由と、人間のトルクが直にかかるところ故シビアなコンディションとなるのでしょうね。
と言うわけで、BBは良いものを使いましょう。

2002年6月19日
imageimage次はヘッドパーツ。
ヘッドパーツを外してみると、とてもきれいな状態。しかもグリスはここ最近のカンパクリスタルグリス色。一度オーバーホールした形跡があります。
実は昨年にヘッドパーツのみグリスアップしました。どのようなコンディションでどの程度走られていたかはわかりませんが、カンパニョーロのヘッドパーツでは、たった1年程度ではまったく問題のない程度のものでしかないということでしょう。

次はペダルです。左ペダル右ペダルペダルシャフトクリーニング後
左側から左ペダル、右ペダル、そしてクリーニング後のペダルシャフトです。
左ペダルを見ますと、水や埃等の侵入もなくグリスもきれいに残っており、とても良好な状態で使用されていた事がわかります。それに対し真ん中の右ペダルは異物混入によるためでしょうか、ガンメタ色に変色したグリスになってしまっています。なぜだろう?
ちょっと話が逸れますが、自転車の顔は正面というより右クランク側から見た状態が”顔”と言えます。それ故かっこよく見せるために様々なメーカーがリアディレイラー”だけ”をグレードアップし上級感漂わせるようにしています。スタンドなども左側についていることなどから、実際私たちが自転車を立てかけるときにも無意識のうちに左クランク側に立てかけるようにしていませんか?それ故右側から水等が侵入しやすくなってしまうのかな?
さて、そんな右ペダルのシャフトですが、クリーニングすると若干の当たりの強さなどは見られますが、ベアリング、玉押し、そしてシャフトの玉当たり面も悪くない状態です。

以上より薄々感じていたカンパニョーロへの思いは確信に変わりました。
カンパニョーロはグレードを問わず基本的な作り自体が素晴らしいようです。
ここで言う作りとは”素材”という意味です。
今回の作業をしているときにふと思い出したのが、以前在籍していたエンジン部品メーカーでの上司の一言。その方は鉄に関してのスペシャリストです。
たまたまある海外メーカーの部品を入手しその部品の組織を調べていたときでした。その部品の素材である”鉄”に配合されている各種成分及び分量は、当時私がいた会社で作っていたものとほとんど同じでした。が、「黒鉛の延びが違うんだよなー....」とおっしゃられておりました。それがどう言うことか未だに良くはわかりません。が、こういうことかな?と思っております。
たとえばお好み焼き屋さんに行ったとします。好みのお好み焼きをオーダーし、いざ焼くときにあなたは自分の目の前にある鉄板で焼きますか?それともお店の人に焼いてもらいますか?
おいしいお好み焼きを食べたいのならお店の人に焼いてもらうことをおすすめします。
具、小麦粉の質、量は同じですが、鉄板が違います。自分の席の前にある鉄板は卓上用程度、カウンター向こうにある鉄板はプロ用のもっと厚くて大きい鉄板です。この方がムラ無く中まできれいに焼けるはずです。
ここがポイントです。
きっとカンパニョーロ(の下請け)で作っているベアリング関係は、我々日本の部品メーカーの設備よりもっと大きくて、たっぷりの”湯”(溶けている鉄を湯と言います)で、削り代もいっぱいに余裕を取って作っているに違いないということです。それが素材の違いに違いありません。←ナンカワカリヅライカキカタ
また、そのエンジン部品メーカーの海外駐在員の話では、加工機の大きさがハンパじゃなくデカイと言っておりました。型から出した鉄を製品にするためには、いくつもの工程を経なければなりません。いくつもの工程を経ることにより”製品”になります。その工程にある加工機の大きさが違えば剛性も違うだろうから、より均一で公差のばらつきも少なく、更に公差も厳しく管理できるはずです。国土面積が小さく、人口密度が高く、コスト管理が厳しい我が国では必要以上に大きな加工機も設置できません。
そう言う根本的なところから違うのかな?と思った次第です。

以上、あくまでも私の推測です。けど、ほぼ間違いないと思います。
但し、素材が良ければそれで良いわけではありません。性能的には当時はともかく、今や我らが日本企業の製品の方が明らかに上回っていると言えるでしょうし。
そして問題なのは、現代では当時のようなコスト感覚や量産ベースでは企業として成り立たないということではないでしょうか?
性能的に日本のシマノに追い越されてから、彼らは血眼になってシマノを徹底的に研究したはずです。実際近年のカンパニョーロにはスペック的に見て明らかにシマノを意識したと思われるところが多いですから。元の作りはそのままに性能だけシマノを目指してくれたのなら良いのですが....
と言うわけで、エルゴパワー以降のカンパニョーロがどうなっているのか、興味ありますね。

2002年6月25日
imageちょっと写真ではわかりづらいですが、キャリパーピストンのピンが折れています。絶好調ダウンヒラーAOK君が練習に行っていたときのこと、ブレーキレバーがどんどん深くなるというトラブルを抱えました。ピストンがかじってしまい出てこなかったのでプライヤーで引っぱり出していたら折れてしまったそうです。
今までハードに使用していたにもかかわらずオーバーホールはしていませんでした。が、パーツ交換して直りました。けど、”余計なこと”をしてしまったためにパーツ交換後もちょっと不具合が出てしまいました。けど、気になっていたことをちゃんと正したらすっかり直りました。
今回のトラブル、結構起こりうる頻度高いです。以前にもあったし。
ハードに使用された方、引きづりながらブレーキをかけるクセのある方は、少なくともシーズンオフにはブレーキのオーバーホールをおすすめします。ヘイズって効きもタッチもいいし、色々あったが故にすごくよくわかってきたし、ちゃんとスモールパーツも揃っているので良いですね。
なお、AOK君はこのトラブルを抱えつつも(ということはフロントブレーキ無しで)Aコースを果敢に攻めていたとか。そういえば以前もリムを壊したときにタイヤとチューブを外してリムだけで下ってきた事があったっけ。笑っちゃうくらい(笑えないくらい)なかなかに速かったらしい。


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