整備日誌    2003年1月編

2003年1月19日
かなり書き込みをさぼっています。とっても久々です。この作業も実は昨年に行ったもの。
さて、魔物系をお持ちのhso氏がフレーム交換をされました。某社の10年くらい前のカーボンロードレーサーから最新のカーボンロードへ。しかしパーツはそのまま移植。と言うか乗っていたロードに装着されていたパーツそのものもそれ以前にお乗りだったクロモリロードからの移植。そう、今回のクランケのパーツ群は3本目のフレームに使用されるパーツです。
で、そのパーツ、デュラエースEX。と言うよりジュラエースEXと言った方が正しいかもしれません。ジュラルミンを使用しているからジュラエースと呼んでいたんですね。20年ちょっと前のパーツでしょう。そういうわけでこれまたなかなか興味深いクランケです。
まずはフロントハブです。なかなかきれいな状態です。グリスもちゃんと残っているしベアリングの玉当たりもなかなかよろしい。
それよりも注目したいのはスポークの編み方。この当時のパーツはよくわからないのですが、ハブのスポークを通すフランジ部に削りが入っています。しかもスポークの角度に合わせて。よってスポークの通し方が決まってきちゃうので全てのスポークは中から外へ通しています。通常外から中、中から外と、かわりばんこに通すんですが。なぜシマノはこのようにしたのかな??何となく推測はつくのですが....
次はリアハブシャフト。右側がフリー側で若干汚れていますがそんなにはコンディション悪くなさそうに見えます。が、玉押しはちょっと虫食ってました。
さて20年以上前のパーツを現代のフレームに組み付けるとなるとそのままではうまくいかないことがあります。今回もそのパターンが十分に考えられたので対処しようと玉押しやスペーサーなど全てを外し、いざハブシャフト交換....しようとしたら既に変えてあった。そっか、10年前のカーボンロードも既に現在の規格に合わせた仕様だったようです。初代クロモリから2代目のカーボンロードに組み替えたのは、弊店も仲良くさせてもらっていますあのお店。さすがにちゃんとしたお店ではちゃんとした仕事やってます。
ってことは10年前には一度組み替えているわけで、すなわちその時には少なくともグリスアップくらいはしているはずで、ってことは20年前からそのままというわけではないということです。
そういえばhso氏は色々な興味深い魔物をお持ちで、この自転車も過去にオーバーホールしたことがあるような....と思い弟(私と同じく従業員です)に聞いてみたら、やったことがあるそうです。と言うことはここ数年の間にオーバーホールしていた自転車でした。どうりでグリスとかがきれいなわけだ。
写真には撮っていませんが、さすがにBBはそろそろご臨終という状態でしたので交換となりました。

2003年2月5日(水)
リカンベントのクランクこれも昨年の仕事のお話です。AMN氏のリカンベントのチェーンリングを交換しました。アウターに付けたのは特注の65T。初めは60Tくらいで話を進めていたのですが、隣にあったKMGT氏のアレックスモールトンに装着されていた65Tを見てたらグラグラきちゃって65Tになりました。
まあそれはいいのですが、それに伴いインナーも交換したのですが、内側にある黒いやつが邪魔をしてインナーギアが外れませんでした。歯数によっては黒いやつをバラさなきゃ外せないことがわかりました。
実はこの黒いやつ、ちょっと面白い仕掛けがあったりするのですが、普通の自転車には付いていない物なので私もさわるのは初めて。しかし今回の改造に当たっての部品は全て揃えちゃったからやらざるを得ない。組み立ててあるわけだからバラせるはず、俺がやらなきゃ誰がやる!(”誰か”じゃないですよ、”誰が”ですよ)という意気込みで自分を調子づけます。そして情報を集めていざ分解です。

中身で、バラしたのが右の写真です。わかりますか?そう、この黒いやつの中には遊星ギアが仕組まれています。遊星ギアとはたいしたヤツで、シャフトの根本あたりに刻んであるギアと写真に写っている小さな3つのギア(実は裏に1個隠れているので4つ)、そしてその外周に刻んであるギアの3つの構成からなっています。これらのギアを自転させたり公転させたり,して減速、増速、やろうと思えば後退もできてしまいます。まあ、このクランケ君は後退はできませんが。
じつはこんな高級な(?)仕掛けが一般車の内装3段変速ギアには内蔵されています。仕組み自体は基本的には自動車のオートマチックトランスミッションと同じです。
さてこのクランケ君の場合、直結もしくは増速の2段切り替えとなっております。上の写真のクランク取り付けボルトのあたりに丸い銀色がありますよね、こいつをかかとでクリッと押し込むことによって切り替えます。なんとスマートな切り替え方法でしょう。
ってことは、このリカンベントの場合、リア9段Xフロントダブルで2段X遊星ギアで2段=36段変速となります。フロントトリプルなら54段、やりようによってはSRAMの内装3段外装9段のリアハブにフロントトリプルで組み合わせれば、3X9X3X2=162段も理論上は可能となります。やる意味はないと思いますが。
さて65T、実際乗ってみるとさすがに重いギアです。が、オーナーのAMN氏曰くなかなか良いとのこと。慣れを要する乗り物故に私には重かった。と言うか太ももの太さも違いますし。お腹まわりもかな??

2003年2月23日(月)
左写真はMAVIC CROSS MAXのハブ&フリーのバラシ図です。フリーが効かなくなっちゃったということでまずは分解。
ハブシャフトが二つに分かれていますが折れちゃった訳じゃありません。互いにボルト&ナットになっていて左右別々に分かれるようになっています。
さて問題のフリーですが小さな爪とスプリングで構成されているのですが、スプリングに泥やらが付いていて機能しておらず爪が転けちゃっていました。またフリーのベアリングもゴロゴロいっていたし、スプロケのはまるセレーション部もちょっと食い込んじゃっていました。ので、フリー交換とあいなりました。ま、それなりの期間それなりに使用していたので仕方ないですよね、WTNBさん。

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