整備日誌    2005年7月編

BBシェル BB

7月2日
いつものごとく更新が遅れております。
今度は外したBBです。
BBえお取り出すとこんな感じです。フレームの中錆びてます。でもこんなもんです。錆はあるけどやっぱ保管状態が良かったからでしょうね、水とかは出てきませんでした。
ひどいヤツになるとBB外したらドビャーッと茶色い水が出てきますからね、この程度ならかわいいもんです。
で、端面を見ればやっぱ塗装がのったままですね、これは当然面出ししました。
さてBB本体、茶色く見えますがこれは錆ではなく固まったグリス。やっぱグリス固まっています。錆はありません。
この当時のBBはウオーターシースと呼ばれる防水カバーのような物があり(写真には写っていませんが)、BBには直接水がかからないようになっています。ので、フレームに錆はあるけれどBB自体は問題無しでした。
で、しかも当たりもこれまたなかなか悪くない当たりだったりします。ので、このまままた頑張ってもらうことになりました。
別にタイムを争うレースに出るわけでもないのだから、なんでもかんでも交換すればよいというものでもないですし。


7月9日
昨日弊店のリキッド号のフォークをロックショックスのPSYLO SLからPIKE TEAMに交換しました。
実は試乗車用なので本当はもっと早くやらなきゃならなかったのですが、忙しくなるとどうしても後回しになってしまうので、なんだかんだとずれ込んでしまいました。
本当は装着する前にバラして色々知りたかったのですが、良いにしろ悪いにしろ、まずはノーマルを乗ってみて評価しなければと思いそのまま装着。
装着して素押ししてみるとなんだかちょっと硬く感じます。今まで装着していた2002PSYLO SLよりサスペンションストロークは増えているものの、動きの質としてはサイロの方が良かったなぁ....と思ったりもしたのですが、まだなじみも出ていないし、手で押しただけではよくわからないということで早速いつもの階段に行きました。
PSYLOからPIKEに変わって一番の違いはやはりモーションコントロールでしょうか。まー階段下ったりするのには関係のない物ですが、どれどれといじってみたくなるのが人情ってもの。いじくり回しながら坂を上って階段を下る。
んん?ちょっと手にくるなぁ....と思いつつまた坂を上って再度トライ。しようと思ったらモーションコントロールが効いている状態だったことに気づいた。へぇ〜、登り時にはあれだけ無駄ない動きしかしなかったのにそのまま下ってもそこそこ行けちゃうんだ....といきなりモーションコントロールを堪能。しかし次からはオープンにしてトライ。
おお、今度は結構ストロークを使っている。で、またトライ。今度はちょっと勢いを付けて下る。う〜ん、悪くはないけどこれならPSYLOも同じような感じだったような....で、次はバニーホップ気味に勢い付けてそのまま階段を下る。
う〜ん、PSYLOも悪くなかったからなぁ....ということでやっぱ富士見のAコースを走ってみないとわかりませんね。富士見のAったってPSYLOも結構行けちゃったからなぁ....
でも希望としてはもっとやっこい動きを期待したのですけどね。まだフルボトムは感じないし、もっと柔らかいスプリングで縮み側のダンピングを上げて....などと思ったりします。場合によってはスプリングチューブに細工したりとかね。
ま、とにかく走ってみないとわからないので早く走りに行きたいな。
と言うことで来週はTAKUYAの全日本選手権の応援を兼ねて富士見に行くつもりです。


7月11日
さて、これもちょっと前の話。前回富士見で偶然ご一緒したISKW氏のサスペンション、MANITOU BLACK COMPです。
氏は私と同じくTREK LIQUIDをお乗りになっており、そしてLIQUIDでの初富士見であった。ちょっとだけ一緒に走らせてもらいましたら、なかなかにいい走りをされておりました。こういうところでこそLIQUIDの良さを体感できたと喜んではいたのですが、どうにもフロントサスが細かな振動を上手に吸収してくれず手がしびれるとのこと。しかしビッグヒットに対しては問題なしと言うこと。
この時私はロックショックスのサイロ SLを使用しており特にそのような不満は感じておりませんでした。
と言うわけでバラす。
多くのマニトウフォークはコンプレッションダンパーの脱着は超簡単なのでさっさと外すと....右の写真。二人して顔を見合わせ「これじゃダメじゃん」。
わかる方は話が早い。声に出すまでもなく氏もこれでは....と感じていました。
と言うのを説明しますとこのダンパーは単なる穴、すなわちオリフィスで減衰力を発生させています。穴を通るオイルの流速は断面積と速度に比例します。ということは、単なる穴だけのオリフィスの場合サスペンションの動くスピードに比例して減衰力が上がると言うことになります。
ウオッシュボードのような小さな凸凹が連続するような場合、低い減衰力でサクッと動いてサクッと戻り、いつでも次の衝撃に準備できるようになって欲しいものです。
逆にドロップオフのような大きな衝撃の場合は、衝撃を吸収しつつ大きくストロークし、そして跳ねないように戻したいので高い減衰力が望まれます。
ウオッシュボードを走るときにはサスペンションのストロークスピードは速くなり、ドロップオフの時はウオッシュボードに比べると遅くなります。と言うことはオリフィスで減衰力をコントロールしているサスペンションの場合、速いストロークの時には高い減衰力を発揮し、遅いときには低い減衰力を発揮することになります。これでは望まれる減衰特性と全く逆になってしまいます。
ではそういうときメーカーはどう対処するかというと、コストをかけられる上級グレードには望まれる特性に近い特性を発揮できるようなダンパーを使うわけですが、廉価版になるとどうするか?答えはどっちもそこそこなレベルで妥協させたセッティングにならざるを得ません。
と言うわけでISKW氏、このシステムを見たとたん両立は無理と判断し決断された、「ストロークスピードの速い領域での減衰力を下げましょう」と。

続く。


7月19日
さて、上記はコンプレッションダンパーですが、ではリバウンドを司るダンパーはどうなっているのか?というと右の写真です。
結構立派なダンパーです。コンプレッションダンパーと比べると雲泥の差と言ってもよいでしょう。ま、ダンパーの役目は「スプリングがビヨーンと伸びたがるのを防ぐ」のが主目的ですので、伸び側の方が高級な作りになっているというのはわからなくもありません。が、伸びだけではなく縮み側も適度に抑制してやりたいのでコンプレッション側も本当はそれなりのダンパーを使って欲しいところですが。
さて、このリバウンドダンパーはオリフィスによる制御の他にリーフバルブ(ワッシャーのような物)によるダンピング制御(流量制御)が行われています。これは厚みや径の異なるリーフバルブを数枚重ね合わせることでフォークオイルの流量を制御します。
すなわちゆっくりと動くときにはあまりリーフバルブをたわませないのでフォークオイルの流量が少ない=減衰力は高くなり、素早く動くときにはリーフバルブをいっぱいたわませるので流量が増える=減衰力が過剰に高くなりづらいという特性があります。すなわち理想の特性に近づけることができます。しかも径の異なるリーフバルブの組合わせを変えたり枚数を変えることで、減衰力特性を変えられるというのも大きな特徴です。
で、このサスペンション、よーく見ていると、また疑問が浮かび上がってきたのだなぁ。


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