整備日誌    2006年12月編

12月12日
ヤバイです。かなり久々の更新です。なんだか色々とバタバタしており(言い訳の決まり文句)更新できませんでした。
いつものごとくネタはあるのですが、ようやく入荷した970XTR、こいつを料理しない手はありません。
すべてのXTRが入ってきたわけではないので(いつものごとく)入荷したやつを観察してみますか。

FD-M970
資料によりますとリンク幅が広くなり、より剛性アップしたということです。
たしかに広くなっていますね。


そしていかにもアメリカ人好みと言えそうな思いっきりのめっきです。かなりギラギラしています。
そしてXTRの文字は肉抜きになっています。なかなか芸が細かいです。
あと調整ネジが若干斜めになり調整しやすくなっています。
特にリアサス車にはいいですね。
それにしてもトップスイングタイプだと970のモチーフである””が見えないんだなぁ。


12月14日
つづいてリアディレイラー。
今回のキットに入ってきたのはロングケージのトップノーマル、RD-M971-SGS。
自転車の部品にとって変速機というのはメカニカルな部分を感じさせるところですが、今回の970XTRではあまり大きなトピックスではないでしょう。

RD-M971-SGS
とても目に付く”X”
これはデザインのためのデザインではなく、ちゃんと肉抜きされて”X”になっている、というか”X”がリンクになっています。
こういうのは機能美を感じます。
が、ハンガー取り付けボルトは磁石にくっついちゃうんですねぇ。思えば950XTRの初期型はチタンボルトだったと記憶しております。


裏はこんな感じ。
プーリーの肉抜きは960系と同じでしょうか。
ただ960はテンションプーリーの取り付けボルトにのみ緩み留めのC−リングがあったと記憶しているのですが、970ではガイドプーリーの取り付けボルトにもC−リングがあります。
こんなの無い方が軽くなるのにあえて付けているということは、やはり万が一に備えてと言うことでしょうか。
そういえばパンタグラフのテンションアジャストネジがいつの間にか無くなっているのですね。960にはあったかなぁ??
ま、それだけイジル人も少なかったと言うことか。


ちょっと写真が暗くて見づらいですが、ケージ、特に表側(と言ってよいのか)は結構厚みがあり頑丈そうです。
シルバーになっている部分は軽量化のために削りを入れているようです。
ディレイラー本体の”X”部分は実は結構削りが粗く、目に付くところだからこそきれいに仕上げて欲しいと思うのですが、一見地味なケージの削りの方が表面粗さはきれいに仕上がっています。


地味な部品。ディレイラーのケージが行きすぎないように止めているボルト。
従来品に比べずいぶん短くなっています。これも軽量化のためでしょうか?
短くしたところでさほど影響はないと思いますが意気込みを感じます。
ハードに乗ったりするとこのボルトがガッツンガッツン当たって曲がったり、なくなっちゃったりすることがあるのですが、短くなることで曲がりにくくなったとも言えるでしょう。
960XTRで装着された、ディレイラー本体に巻くゴムの緩衝材は引き継がれているのが写真左上に巻いてあるのでわかりますね。


ケージの裏には数々の肉抜き穴が。これも960系から引き継いでいますね。
一番手前の出っ張りのところにも穴があるのですが、これってスプリングを引っかけてテンション上げられるようにでもなっているのかな?
昔そういう風なチェーン外れ防止パーツがありましたね、名前忘れましたが。
RD-M950-SSには引っかけられるような出っ張りがありました。
肉抜きによる軽量化が機能向上にも役立っているのであれば一石二鳥ですね。


12月16日
クランクです。ある意味自転車の顔になる部分。ですので性能のみならず外観にもこだわるところ。
960は日本の美を感じさせるバフがけをテーマに、磨きにこだわったと聞きました。
さて970はというと、一応磨きが受け継がれています。
もちろん外観だけでなく性能追求はXTRに求められるもの。もちろんそこは抜かりありません。

FC-M970
シルバー部分は磨きの入っている部分。黒っぽく見えるところはアルマイト?
このアルマイトは950XTRを思い起こさせるカラー及び質感ですね。
表面処理後磨きをかけているようです。
と言うのもXTR文字部分はエンボスのように出っ張っています。ま、芸が細かいと言えば細かいか。
しかし磨きの割には光沢はイマイチ。写真で撮ってもキラキラ感イマイチですね。磨きなら顔が写るくらいまでやって欲しいところ。
ま、量産品には求められないところか。
なおチェーンリングを留めているボルトはトルクスになっています。

チェーンリングの裏を見るとものすごい削り。
これは変速性向上のため。チェーンリングに打ち込んであるピンと溝によって”変速すべき所”を設けてそこでスムースに変速させる。それ以外の所では変速させないようにしています。


チェーンリングのアップ。トピックスはミドルリング。
チタン&カーボンのコンポジット素材になっています。
軽いチタンリングにカーボンの変速ガイドと言うところでしょうか。
シャープな変速フィーリングと共に耐久性は約3倍ということです。


960でセンセーショナル?なデビューを飾ったホローテック2がまた進化しました。
セレーション部を見ると950XTRのBB軸を思い起こさせるようなセレーションです。
またしても専用工具が増え、それを使って取り付けるようになります。装着方法も960とは異なります。
クランクに付いている”なると”状の物はプリロート調整用です。
ホローテック2では左クランクに割りがあってそれを締めてBB軸と固定していましたね。しかしセレーション状の物を円周方向に締め付けて固定ってのもよく考えると無理がある。かみ合いを均一にできないですね。そういった意味では改善されたようです。
なお左クランクは写真には写っていないアルミ製の8mmのボルトで取り付けるのですが、これと特殊工具を組み合わせるとプーラーとして機能します。
ちょっとだけ気になるのはアルミボルトがプーラーってのがどうなのかなと。


12月28日
スプロケット。前回紹介したクランクが自転車の顔であるのなら、一番地味なところがスプロケかもしれません。だってよく見ないとわからないし。
その割に価格はXTに比べすごく高い。それはチタンを使ってコストがかかっているから。ってのは960もそうでしたね。
というわけでトピックスとしては少ないかなと思いあえて紹介するまでもないかなと思っていたのですが、スプロケをひっくり返して裏を見たら「結構凝ってるなぁ」と思ったので紹介します。

CS-M970
凝ってるなぁって思ったのはこのスパイダーの削りを見てから。こんなのホイールにはめちゃったら裏から見ないと削っているのなんかわかりません。
コスト的には是非省きたいところなんでしょうが、アルマイトと削りによるワンポイントが970のパッと見てわかるポイントなのでしょうか。


バラスとこんな感じ。
960では2組のスパイダーになっていましたが970では3組のスパイダーになりました。
そもそもスプロケットはフリーのスプラインにかんでいる訳なのですが、一番肝心なのはチェーンとかみ合う歯の部分。
逆に考えれば歯さえしっかりしていればそれ以外の部分はさほど重要ではない。ならばアルミにすればもっと軽くなる!というのがスパイダータイプの発想のもと。
更にロー側4枚は歯もチタン製になり更なる軽量化も実現。


で、ロー側のスプロケのアップがこれ。
スパイダー部にツメのようなでっぱりがあります。これは960にはありませんでしたね。
なんだろう?と興味をそそりました。


ので、次に来るスパイダー(3,4枚目)と合わせたら、ちょうどツメの部分が3枚目のスプロケの背中にあたるようになっていました。一番上のスプロケ写真をよく見るとわかるかと思います。
同時に3,4枚目のスプロケが付いているスパイダーをかしめているピンがこのツメの間にうまく収まるようになっていました。
で、資料を見たら「負荷を分配して受け止め、ボディとスパイダーの接触ポイントの摩耗を軽減することで耐久性が向上」と書かれていました。
地味だと思っていたスプロケットですが、なかなかやっています。



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