整備日誌    2021年10月編 
 
10月4日
マルイシ トライアングル AT2に装備されている自動変速内装2段。
これにちょっと興味が湧きまして調べてみました。


まずこれが自動変速内装2段の中身です。
低速時はスプロケットからの駆動力は@の低速用の爪とCのギアが噛みあいハブは駆動されます。
高速時はAのウエイトが遠心力で開きBの高速用の爪が固定されDの高速用ギアと噛み合いハブは駆動されます。このときハブは内部の遊星ギアによって増速されます。



もうちょっと掘り下げて見てみましょう。
左の写真は低速時。ウエイトは閉じています。右の写真は高速時を再現したもので指でウエイトを開いています。
上記で書きましたように低速時は@低速用フリーの爪がそのままC低速用のギアと噛み合いハブは駆動されます。
高速になると右写真のようにAウエイトが開きます。Aウエイトは保持軸によって支持されていますので、この軸を中心に遠心力により回転します(開きます)。
するとAウエイトに取り付けられているFピンも保持軸を中心に回転します。同時にFピンは円盤状のEカムを回転させG高速用のフリーの爪を起こします。
そうするとG高速用のフリーの爪は(写真では写っていませんが)B高速用の爪の内側にあるギア(突起状の物)と噛み合いDの高速用ギアと噛んでハブを駆動します。
実は低速用も高速用も常時噛み合っているんですよね。そして高速になるとG高速用フリーの爪がB高速用の爪の
内側と噛み高速モードになるのです
すなわち、低速時はB高速用の爪は空回りしているんです。
高速になるとハブの回転数はスプロケットの回転数より高くなるわけですからハブが低速用フリーの爪を追い越します。ので、チチチチチッとフリーの音がするんですね。これはよく使われる内装3段ハブと同じですね。

 
低速時
ウエイト閉じ
  高速時
ウエイトが開いて→保持軸を中心にピンが動き→カムが回り→G高速用フリーの爪が起き→B高速用の爪の内側にある突起(写真無し)にGの爪が噛み→B高速用の爪を固定し→D高速用の爪と噛むギアを駆動。


 
ざっとバラすとこんな感じ。
シャフトには遊星ギアのサンギアが刻まれています。
  スプロケに付いている遊星ギアのピニオンとキャリア。
あっ、歯数数えるの忘れた。


ウエイトの裏側に付いているリングギア。


という構造でした。もうちょっとバラせたのですが時間切れで…
さて実際に乗ってみるととても自然にギアが変わります。まぁ、わがままな私は"自動"ってのが好きじゃないので(車もMTが好きだし、オートエアコンとかオートワイパーとか性に合わないし)、あくまでも自分の意思でコントロールしたいのでなんですが、でもとても自然なフィーリングでした。
高速用の爪とかギアとか案外上手に設計されているのかな????
バラしていてふと思ったのですが、これってF1とかMOTO GPのシームレスミッション的じゃん?ということ。
そう考えながら乗ると有り難みを感じます(笑)。
なお構造上トルクをかけたまま減速しても低速ギアには変速しません。



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