整備日誌    2001年9月編

2001年9月1日
破壊王AOK君が先日ダウンヒラーな方々と富士見に遊びに行ったときにやっぱり転んだ。で、サドルを壊したとのこと。他、ジープロードを鬼コギしていた時に岩にヒットし、ジャックナイフしつつ網に引っかかって転んだとか言っている。「その時にまたリムヒットしちゃったんですよ〜」とか言うもんだからよーくチェックしたら、リムぼこぼこ。リム打ちで曲げるというレベルを超えている曲がりが2カ所ほど。黒いRM-930DISCが白っ茶けてちょっとだけクラック入っています。あーあ、またやってるよ、でももうしばらくはこのままで様子見ざるを得ない。
それより、摩耗したリアタイヤを交換しつつ、なんか位置決めがいまいちしっくりこない。ハブにガタがあるぞ。よーく見てみると....あれ?ハブシャフトが全部左に寄っている???どういうこと?
ハブにガタがあることはそれほど珍しいことではないが、ハブシャフトが片側に全部寄っちゃうっていうのは解せない。しょうがないからハブ軸をばらし始めると....そうか、左だけではなく右のロックナット&玉押しが緩んでいます。それならたしかにハブ軸が動いても無理もない。けどなぜ両方とも??
それはともかく、FH-M755、そうXTディスク用リアハブ、ちょっと不具合が多い気がする。ロックナット緩みはこれでおそらく3件目、ほかKRD氏のフリーがダメになっちゃったっていうのもある。たまたまなのか、それともディスクローターが付くことによって何か因果関係があるのか?わかりませんがちょっと怪しいことが多い気がする。
そういえばうちの試乗車君もフリーが怪しげな音を発することがある....
皆さんのFH-M755も確認して損はないと思われます。


2001年9月3日
先日KRD氏のホイールのスポーク張り調整を依頼されました。けど気が進みません。なぜか? だって、どう考えたって均一な張りなんてとれるわけないです。今までの経験上DHバイクのホイールってみんなボコボコです。優秀なサスペンションが付いていたって、評判の良いタイヤが付いていたって、分厚いチューブを使っていたって、コースの難易度が上がりライダーの腕も上がり、それ故にスピードも上がると結構リム打ちやってます。
ましてや今回のKRD氏の場合、チューブレスだし、先日リム打ちしてエア漏れしたとのこと。それをハンマーでガンガン叩き(整備士の方です)直したとか言っているホイールです。均一なテンションなんてとれるわけありません。
案の定ってな感じでした。が、そこはディスクブレーキ、振れは適度に妥協してテンションを上げちゃいます。
以前も書いたかも知れませんが、DHバイクにはやはりディスクブレーキですね。
上記の通り普通にDHをやっていればどう考えたってリムはボコボコになります。昨年のサイクルショーで見た塚本選手のバイクもKUJOチューブレスだったけどリムボコボコだったもんなー。
リム打ちするとそこは凹むわけですからスポークの張力は下がります。じゃー....というわけでそこのテンションを上げようとすると、ただでさえ凹んでいるのにより引っぱろうとするわけですからリムはより凹んでしまいます。そうするとブレーキシューの当たり面からずれて危険なことになってしまいます。
また、凹むわけですからその分横方向に膨らんでしまいます。そうするとブレーキシューに干渉してしまいます。
というわけで、DHバイクにはディスクブレーキが是非とも欲しいアイテムとなります。確かにブレーキシステムは高いかも知れませんが、リムブレーキ故に必要になってくる頻繁なリム交換を考えるとかえって安いかも知れません。


2001年9月4日
これまた先日の話になるけどFKSMのフレームをガリガリと削った。と言うのも、彼はここのところ駆動系トラブルが重なっており、ついこの間ディレイラーのテンションを上げた。が、それでもトラブってディレイラーを壊した。ので、一部部品交換をしてチェーンデバイスもちょっと見直しをした。ら、こんどはシフトワイヤーがトラブッた。から、直していたらトップに入れたときにディレイラーのケージがスイングアームに干渉しトップまで落ちなかった。これは私的に言わせてもらうと設計ミスというか煮詰めが甘いと言わざるを得ない。だってDHやる人ならテンション上げたいと思う方も結構いるだろうから。それに対応できていないようじゃね〜....
というわけで削ることになった。ま、適度に使い込んだフレームだし、彼とは短大時代の友人でもあるし(勉強熱心な氏は2年でよいところを3年も勉強した。おかげで彼は後輩になった)、最悪時にも笑って済ませることができるであろう?という気楽さからガリガリと容赦なく削る。削る、削る。
で、何度か恒例の付けては外しを繰り返し、OKとなったらあとは仕上げ。段々ならしていき最後は例によって鏡面仕上げ。どうせ1本走ればガリガリになるのだろうけど、気分的に鏡面仕上げまでやりました。
しかし面倒な作業である。あまりやりたくない作業ですが、同じバイクで似たようなスペックのWKYM氏のバイクが店に修理で入っていたりする。WKYM氏がここを読まないことを祈ります。


2001年9月8日
BBH氏のアレックスモールトンGTのBBが緩み、更にリアにガタが生じたとのこと。このAM-GTは完成車として購入した物で、場所によってちょこちょこと趣味製の高いパーツ(魔物系)に変えております。が、BBは初めから付いてきた物。チタンシャフトのもの。さすがに高いパーツが付いております。
ところで左の写真ではちょっとわかりづらいのですが、このBBは左右ともカニ目レンチで装着するタイプのBBです。普通のつば付きタイプのBBと比べチェーンラインを自由にできるというメリットがあります。が、デメリットとしてしっかりと装着しづらいという面も持っています。カニ目ですから。更につば付きのタイプは強くフレームに締め付けることによりその伸びが期待でき、それ故に緩みづらいという事もあるのですがこのタイプはそれもない。故に緩みやすい傾向にはあると言えるでしょう。
AM-GTピボット部モールトンピボットさて、もう一つの問題リアのガタです。原因はピボット部でした。バラしてみるとシャフトの両端に銅製のブッシュがはまっています。これが摩耗したのでしょう。早速手配してみると結構あり得ることらしく?すぐに部品は出るとのこと。で、到着後新しい物に交換してみるもガタがとれない。色々やってみるとどうやら寸法がちょっと微妙に違うようです。その件をダイナベクターさんに連絡したら、その寸法の物を手配しましょうとのこと。ありがたいことです。
で、その品が届き早速取り付けてみるもそれでもまだちょっとだけガタがある。付けては外しを繰り返し原因を探ったら、まだ寸法が微妙に違うようです。と言っても初めの状態から0.1o弱の違いなんですが。あとちょっとなのでヤスリでシコシコと削ります。ま、削り作業は良くあることですから。そしてようやく完成にこぎつけました。


2001年9月17日
ギア比。果たして53Tを回せるか?
昨日ギア比でもめました。ロードでフロント53X39,リア12,13,14,15,16,17,19,21,23のギアでクランクは毎分100rpm回すとします。すると53X12ではおおよそ56q/h、50X12では53q/hということになります。
このスピードは我々一般ライダーでは平地で連続して回せるスピードではなく、ゴール勝負のもがき時の瞬間速度と言えます。かと言って下りで漕いでスピードを競ってもレースではあまり意味のないことでしょうし、そういうので競いたいのならDHがあります。富士見Aコースなら漕がなくても50q/h以上出ます。
話変わって昔7段変速の頃、12,13,14,15,17,19,21もしくは12,13、15,17,19、21,23というギアが一般的でした。16Tが欲しいとか18Tが欲しい等とみんなで言っていました。
そうしたら8段変速になって12,13,14,15,16,17,19,21もしくは12,13,14,15,17,19,21,23という歯数が一般的になってきました。ら、やっぱ18Tが欲しいとみんなで言ってましたっけ。
そして9段変速になってくると、12,13,14,15,16,17,18,19,21もしくは12,13,14,15,16,17,19,21,23が一般的になってきました。けど、一般ライダーとしては23Tが欲しいとなってくるとやっぱ18Tはなかったりします(^^;
ロードレーサーはMTBと比べると平坦な舗装路を”ハイペース”で走る傾向にあり、それ故クロースレシオなギア比が好まれます。逆にMTBでは路面状態や勾配が連続的に変わり、絶対的に”ローペース”なのでワイドレシオなギア比が望まれます。
以上をふまえ、私的には(たいして力量ない)せっかくの2X9=18段変速をなるべくクロースレシオで使いたいと思い、フロント50X40T、リア12〜23T(23Tは欲しい)をセットしておりました。脚力のある人ならば53X39Tというワイドレシオで上りでも平地でもガンガンコギを入れて逃げるというのもありでしょうが、私にはとても回せませんでした。だから私が走っていた頃は、とにかく集団の中について下りは回さず(体力温存)という小判ザメ走法でした(^^ゞ
というわけで、ことロードレーサーでの多段化はより一層のクロースレシオ化でした。ほんのちょっとの勾配程度でも、ちょっと疲れた程度でも、同じ回転数でクランクが回せるようにという進化でした。私などは脚力がないからクロースレシオにしていつでも同じ回転数で回したいという意図から上記のようなギア設定でしたし、フロントを変えるときには急激なギア比の変化を嫌うために、リアも2段くらい一緒に変えていました。
と言っても私がロードで走っていたのはもう数年前のこと。今や全体のペースとか走り方とか違うんでしょうね。


2001年9月19日
せっかくだからクランク長さについての話。
アルテグラクラス(105もかな?)になるとクランク長さは2.5o刻みで選ぶことができます。たった2.5oですが、これって大きな違いになってきます。クランクアームは円運動の半径になるので直径では5oの差になってきます。更にπを掛ければ円周長さになるわけで、2.5o違うとおおよそ円周長では15oの差になってきます。
例えば100rpmで回したとして1時間走り続けたとします。そうすると2.5oの差は15000o、すなわち15メートルの差になってきます。たった2.5oクランクが長いだけで1時間走り続けると15メートルもよけいに足を動かさなければならないことになってきます。
もちろんその逆もしかりで、上りではその分短いクランクの方がトルクが必要になってきます。
ちなみに身長180pの私は175oを使用しています。さすがに170oを使うと足の動きが変に感じます。


2001年9月24日
先日のジェイミスカップでTKGK選手のバイクが負傷した。泥によりチェーンデバイスからチェーンが外れたり、ニップル飛ばしちゃったりとのことで入院。車から押してくる間にどうにも重い。なんか変。よーく見てみるとホイールが左に寄っている。スポークが飛んじゃったからかな?とも思うけど、たった一ヶ所スポークが飛んだ割には全体的にホイールが左に寄っている。なんか変だ。で、もっとよーく見ると、スポークがキャリパーに干渉していてそれが抵抗になっていました。ホイールがずれたのか?一度外して取り付けるもまた左に寄ってしまう。これは絶対変だ。ホイールをまっすぐに押さえていても締め付けようとすると左に寄ってしまう。再度ホイールを外しもっとよーく見てみると、なんとフォークエンドが曲がっている。爪がずれています。
あーあ、KOWAのアウターチューブは削り出しだから高いぞ。でもやってしまったことは仕方ない。
それはともかく、同じようなこと過去に私もFKSMのバイクでやったことがあります。アウターチューブ変更するならということで、彼のバイクはクイックからスルーアクスルにバージョンアップしたのであった。
そもそもクイックシャフトという優れたホイール固定方法はカンパニョーロおじさんによって発明された。記憶によればカンパニョーロおじさんが現役の頃、レースでアルプスだかピレネーだかの山に登っているときにタイヤがパンクした。で、交換しようにも手がかじかんでホイールナットを回せなかったらしい。それに頭に来たおじさんはクイックシャフトというとても素晴らしい車輪固定方法を考案したそうな。それが今でもしっかりスポーツバイクの定番として残っております。
しかし、今のDHバイク、ロードの2〜3倍の重量は優にあります。しかもサスペンションなんかが装備され、優に100oを越える動きをします。そりゃ剛性下がります。まさかおじさんが考案した頃にはこんなバイクは考えてもみなかっただろうし、そういうことは一切考慮されていないはずです。ハブ軸径9o程度、しかもそれがはまるフォークにはU字型の溝が切ってあり、それを固定しているのはたったφ5のクイックシャフト。そりゃ20oのスルーアクスルと比べれば頑丈さ、剛性は全然違うはずです。
と言うわけで以前書きましたが、「DHにはディスクブレーキ」の他にスルーアクスルというのも加えたいくらいです。
さてさて部品も届き作業に入ります。フォークを外し、オイルを抜いて中の部品を外そうとしたら....


2001年9月30日
....もっと中にあるべき部品が出てきた....というところで続きは次回。
と言うのも、オーナー様お待たせ、アンカーFADAPのリアサスペンションの動きです。


まずはショートストローク(410KB)


次に標準セッティングであるミドル(331KB)


そしてロング(333KB)

整備日誌へ戻る